電験3種(第3種電気主任技術者)は、全国で年間5〜6万人が受験する人気の国家資格です。
電気設備の保守・点検・運用を行うために必須の資格であり、取得すれば就職・転職・昇進・副業など多くの場面で強力な武器になります。
▼電験3種を取得するメリット▼

しかし、電験3種は決して簡単な試験ではありません。
合格率は例年およそ9〜10%前後。
CBTが導入され、電験3種が易化したといっても20%程度と依然と低い合格率。
しかも4科目すべてに60点以上を取る必要があります。
試験範囲も広く、「どこから勉強を始めればいいかわからない」と感じる文系・初心者の方も少なくありません。
この記事では、電験3種を独学で最短合格するための全ステップを、初めて挑戦する人にもわかりやすく解説します。
単なる勉強法の紹介だけでなく、参考書選び・学習計画の立て方・苦手分野克服法など、実践的なノウハウを網羅しています。
ぜひ、最後まで読んでください。
電験3種とは?【初めて受験する方への基礎知識】
まずは試験の基本情報から見ていきます。
- 受験資格:年齢・学歴・実務経験を問わず、誰でも受験可能
- 試験科目:理論・電力・機械・法規(全4科目)
- 合格基準:各科目60点以上(満点100点)
- 科目合格制度:合格科目は翌年度以降も有効
- 試験方式:CBT方式(パソコンで受験)導入済み
そう、電験3種の特徴は、誰でも受験できること。
文系の方も受験でき、誰にでも合格のチャンスがあります。
科目合格制度がある
電験3種は、試験は年2回(上期・下期)実施され、4科目合格で資格取得となります。
科目合格制度があるため、1〜2科目ずつ合格を積み上げる戦略も有効です。
科目別の対策
では、科目別の対策を見ていきましょう。
理論
電験3種で一番重要な科目です。
電気数学・直流回路・交流回路・電子理論など基礎的な内容が中心で、他科目の理解にも直結します。
最初に取り組むべき科目です。
電力
発電所の種類(火力・水力・原子力・再生可能エネルギー)、送電線の構造、変電設備などが問われます。
暗記中心ですが、計算問題も出題されます。
機械
変圧器・同期機・誘導機・直流機・パワーエレクトロニクスなど範囲が広く、初心者が苦手にしやすい分野です。
理解が浅いと点数が安定しません。
法規
電気事業法・電気設備技術基準・保安規程などの法律と、それに基づく計算問題(短絡電流・電圧降下など)が出題されます。
暗記だけでなく計算力も必要です。
初めて受験する方が陥りやすい失敗パターン
独学で挑む場合、以下のような失敗パターンにハマる人が多いです。
- 参考書を買いすぎて迷子になる:複数冊を同時進行で使うと、知識が分散して定着しません。
- 基礎を飛ばして応用問題に挑む:数学・物理の基本が理解できていないと、回路計算や法規計算が解けません。
- 苦手科目を避け続ける:特に「理論の苦手分野」を後回しにすると、直前期に大きな負担になります。
- 過去問を解くだけで復習しない:解きっぱなしでは力がつきません。間違えた原因分析が必須です。
これらを避けるためには、次に紹介する5ステップ学習法を実践するのが効果的です。
独学でも合格できる5ステップ
ステップ1:全体像を把握する(1〜2日)
まずは試験の範囲と傾向をざっくり理解します。
過去問を数年分パラパラと眺め、「自分がどこまで知っているか」を把握しましょう。
この時点で完璧に理解する必要はありません。
また、要点をまとめた重要公式集を活用すれば、より受験戦略を立てやすくなります。
\まずは、この1冊! 概要が分かる重要公式集/
ステップ2:基礎固め(1〜2ヶ月)
もしも数学、物理に自信がないなら、基礎固めをしてください。
数学といっても、分数の計算や複素数などです。
微分・積分などは電験2種以上の話。
基本的な四則演算ができることならば、いきなり過去問を解き始めましょう。
ステップ3:過去問演習(3〜4ヶ月)
最新10回分を最低2周します。
最初は解けなくてもOK。
解説を読みながら理解を深め、間違えた問題には付箋や印をつけておきます。
2周目以降は「間違えた問題だけ」を重点的に解き直します。
\解説が丁寧な、理論!/
ステップ4:苦手科目の集中補強(1〜2ヶ月)
ここまでくると、苦手分野も定まってくるはず。
リストアップしている苦手分野を、専用の参考書で対策していきましょう。
ステップ5:模試・総仕上げ(1ヶ月)
本番と同じ時間で模試を解き、時間配分を確認します。
模擬試験としては、まだ解いたことがない電験3種の試験問題を使うのも効果的です。
勉強時間の目安とスケジュール例
文系・未経験者なら500〜600時間が目安です。
理系経験者でも300〜400時間は必要です。
では、勉強時間500時間を確保するには、どれぐらいの期間が必要になるでしょうか。
以下は、一例ですが、電験3種の合格までには時間がかかります。
少なくとも半年以上、じっくり取り組む姿勢が大切です。
例1:半年〜8ヶ月で合格を狙う場合
- 平日1時間、休日3時間の学習
- 月間約80時間 → 6〜8ヶ月で500時間達成
例2:1年〜1年半で合格を狙う場合
- 平日30分、休日2時間の学習
- 月間約40時間 → 12〜15ヶ月で500時間達成
独学で電験3種に合格するために
では、独学で電験3種に必要なことを列挙します。
- 勉強時間は朝・通勤・昼休みなど隙間時間を活用
- アウトプット重視で過去問や練習問題を繰り返す
- 間違えた問題は「なぜ間違えたか」を必ず分析
このように、すき間時間を活用することで、勉強時間を確保します。
しかし、独学の最大の敵は「モチベーションの低下」です。
苦しくなった時には、60点取れば合格であると自分に言い聞かせ、何が何でも頑張ってください。
昨日の頑張りの先に、今がある。
今の頑張りの先に明日がある。
その先には合格が必ずある。
だから、絶対にあきらめない。
が、電験3種に合格する上で一番大切なことです。
まとめ
電験3種は決して楽な試験ではありませんが、正しい方法で学べば独学でも十分合格可能です。
まずは理論から基礎を固め、過去問を繰り返して知識を定着させましょう。
苦手分野は早めに克服し、試験直前期には総仕上げに集中することがポイントです。
もっと試験勉強について知りたい方は、電験3種の試験対策を参考にしてください。